No.17 おばあちゃんの誕生日に久しぶりの家族記念写真

写真館

スタジオで写真を撮影したのは、いつ頃までだったか。私が子供の頃、七五三の時に家族でスタジオに行って撮った記憶があるけれど。携帯やデジカメが出てきて、更にホームビデオなんかも出てきて、スタジオに行くこともなくなりました。子供の入学式もデジカメでパチリ、その写真をメールで田舎のおばあちゃんに送ったりしています。

そのおばあちゃんの誕生日を来週に控えたある日、夫が「今年は帰ろうか」とポツリ。息子と直に会わせてあげたいのでしょう。もう後何回誕生日を祝えるか分からないし。私たちが帰るとなればおばあちゃんにも気を使わせるけど、私も夫に同感。夫が早速、電話に飛びつきます。誕生日ケーキや料理の材料はこちらで買い揃え、車で向かうことにしました。

当日、おばあちゃんの家に着いてびっくりの私たち。おばあちゃんの家には近所の方たち数人が既に集まっていて、愉しそうに談笑していたのでした。料理も持ち寄ったらしい煮物や太巻きなどが広げられています。お礼を述べる夫に、手を振る彼ら。「こっちも毎年、楽しませてもらっているよ」。既にほろ酔いの様子。「何のかんので呑めれば良いんでしょうよ」。

ケーキは明日にしようかしらね。今度は息子がその場の中心になる。「小学校は楽しいかい?何年生になった?」息子は物怖じしないでその場に溶け込む。おばあちゃんがグラスを持ってきて、自家製梅酒で満たしてくれる。この梅酒が絶品なのだ。「そうだ、記念写真を撮ろう」誰かが言う。「明日にしたら?今日は酒が入っているし」「酒がなんぼのもんじゃ!」、そのつもりだったのか、カメラと脚立を取り出した。

「じゃあ、本気でチーズ!」それを何回か繰り返す。「この人はプロの写真家さん」とおばあちゃん。「プロ言っても、最近は学校の写真位しかないけどな」。「じゃあ、今度は私が撮りましょう」と夫。プロの写真家さんも並ぶ。「ちゃんと撮影してや」。夫が苦笑する。「そりゃ、プロと比べられても」、写真家さんが頷く。「今日は許したるわ」。

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