No.4 キッチンメーカーのショールーム、個性的なカメラマンの商品撮影

商品撮影

商品撮影のために私は、任されているショールームをカメラマンとそのスタッフに貸しました。
私はあるキッチンメーカーに勤めていて、ショールームの室長を任されております。

私はこのボンバーヘアのカメラマンに衝撃を受けました。
先生と呼ばれるそのカメラマンは私には変人にしか見えませんでした。

その日、包丁の商品撮影のため、カメラマンとモデルの女性、スタッフの3人でショールームに来ました。
到着するなり撮影の準備が始まりました。
私と部下は撮影が行われるワークトップの近くにいるとカメラマンに「この子が恥ずかしがるから見るなら離れて頂戴。」と言われ、8メートル位離れました。
この子とはモデルさんの事ではなく、包丁の事を指していました。

撮影前に打ち解けるためとの理由でモデルさんはキッチンに立たされ、包丁を握ったリ離したり実際に使うようにカメラマンに指示されてました。
その間何度も「セクシー!」とか「キュート!」とか声をかけていました。
これも観察する限り包丁に対するメッセージです。
そして何度も包丁に近付き、「あなた本当に可愛いね。」と手に持ち抱きしめるような仕草をしました。

商品撮影が始まると被写体に向かい、更に褒めまくりました。
女性のモデルさんが写るのは、その内の何枚かで、殆どは商品撮影でした。
ボンバーヘアは、汗をビッショリかき、商品撮影を終えました。

撮影後に数枚記念にその写真をもらいました。
変人が撮ったその包丁は、まるで生きているような輝きを放っているかのように見えました。

しばらくボンバーヘアと一緒にいる間に私の頭もおかしくなってしまったのかと思っているとボンバーヘアが私に話しかけてきました。
「今日はとてもありがとう。すごくいい撮影が出来ました。でももっとキッチンさんを大事にしなさい!」
この言葉は何を言わんとしているのか理解出来ませんでしたが、心にグサッと刺さって今でも消えません。

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